借金600万円・副業5年
——「諦めなければ失敗じゃない」を試した結末
「不安と劣等感からの出発」
「副業で稼ぐには、何かしら得意分野やスキルが必要」
そんな言葉を聞くたびに胸がざわついた。
パソコンスキルも資格もなし、特別な人脈もない。
残っているのは借金600万円と、いつも頭に張り付く“焦り”だけ。
副業をやる資格なんて本当は自分にはないんじゃないか
——そんな疑念が、夜道を歩いている時や電車で広告を見た時に、ふと押し寄せる。
それでも、立ち止まれば返済の目処は立たない。
「何も持っていなくても進まなければ」という思いだけで、僕は副業に手を伸ばした。
「積み上がらない努力と深夜のため息」
最初に挑戦したのはブログだった。
「ストック型収入」という言葉に惹かれ、毎晩パソコンに向かい記事を書いた。
知識ゼロから独学でWordPressをいじり、画像も無料ソフトで加工。
趣味だったゲームの記事を半年で150記事を投稿したが、報酬は74円。
時給に換算するまでもなく、笑ってしまうほどゼロに近い。
次に手を出したのはせどり。
「せどりは誰でもできる」「スマホ1つで月10万円」。
その言葉に救われた気がした。
借金を抱え、残業続きで疲弊していた僕には
“低リスクで稼げる魔法”にしか見えなかった。
実際、カード枠を頼りに仕入れた。
ところが買った商品はすぐ値崩れし、部屋の片隅には売れ残りの段ボールが積み重なる。
帰宅してその山を目にするたび、
「借金を返すためにやった副業が、借金を増やす置物を作っている」という現実にため息が漏れた。
クラウドソーシングにも挑戦した。
1文字0.5円のライティング案件に応募し、リサーチと執筆で1記事に8時間。
ようやく仕上げても、報酬は1,500円前後。
深夜2時、眠気で目がかすむ中キーボードを叩き、完成した記事を納品した瞬間の空虚感は
今も忘れられない。
「この作業を続けた先に何が残るのか」——自分でも答えが出せなかった。
成果もスキルも積み上がらないまま、疑念だけが膨らんでいった。
「自分は本当に副業をやっていいのか?」と。
「スキルゼロ副業に必要な3条件」
スキルや経験がなくても副業を始めることは可能だ。だが条件がある。
1.成長余地を見込めるジャンルを選ぶ
最初は低単価でも、学びを積み上げれば単価を上げられる分野が望ましい。
2.資金・時間・体力を消耗しすぎない
借金や本業の負担がある場合、初期投資が大きい副業や長時間労働型は致命傷になりやすい。
3.学習と実践を並行する
学ぶだけでも、作業だけでも成長は鈍い。両方を同時に進めることで経験が定着する。
副業実態調査(2024年)によれば、
スキルゼロで副業を始めた人のうち1年以内に月3万円以上稼げたのは18%程度。
ただしその多くは「スキル習得を意識的に行った」と回答しており、
運や勢いだけでは突破できない現実がある。
「“作業”から“成長”へ」
僕が失敗を重ねた理由は明確だ。
・単価を上げる努力を後回しにした
・やり方を改善せず、ただ作業量を増やした
・「稼ぐこと」だけを追い、学びを軽視した
今は、この失敗を踏まえて3つの軸を意識している。
・作業の中に必ず新しい学びを取り入れる
・単価交渉や高単価案件への挑戦を定期的に行う
・毎月「時間単価」を計算して改善する
副業は「ただ量をこなせば突破できるもの」ではない。
進まなければ終わりだが、進み方を誤れば消耗戦で終わる。
続けるなら、成長の軸を持つことが必須だと痛感した。
「スキルゼロは資格剥奪ではない」
「何も持っていない僕でも、副業をやっていいのか」
その問いに対する答えは——やっていい。ただし、やり方を間違えなければ。
スキルゼロは資格剥奪ではなく、ただのスタート地点だ。
持っていないなら、作りながら進めばいい。
副業は「持っている人の特権」ではなく、「持っていない人が持つための道」でもある。
借金600万円を抱え、何度も挫折した僕も、今日も小さな一歩を積み重ねている。
その一歩が、いつか確実に未来を変えると信じて。
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