「ブログは資産になる」って本当?
——数円の資産を6ヶ月育て、捨てた男の記録
「信じていた言葉の正体」
「ブログは資産になる」
副業界隈で繰り返されるこのフレーズを、僕はほぼ盲目的に信じていた。
記事を書けば書くほどストックが増え、気づけば自動的にお金が入ってくる
——そんな未来を勝手に描いていた。
けれど実際に始めてみると、6ヶ月で僕が育てた資産は、
累計収益74円。
額を見た瞬間、食べ放題の焼肉すら行けないなんとも言えない虚しさに襲われた。
これが現実だった。
「150記事と笑えない数字」
2024年の春、本業の合間を縫ってブログをスタートした。
テーマに選んだのは、当時一番好きだったゲームの成長日記。
毎晩1〜2時間、夜中にパソコンに向かい、スクショを整理し、
感想を書き、攻略情報をまとめる。
6ヶ月で書いた記事数:150本
PV(アクセス数):月間600程度
収益:Googleアドセンスで累計74円
最初から大金を期待していたわけではない。
でも、半年間で積み上がった成果が
「74円」と表示されたとき、パソコンの前で思わず声が出た。
「……これを資産って呼ぶのか?」
積み上げたはずの記事の山は、資産ではなく、
夜中に削った睡眠時間と疲労の象徴にしか思えなかった。
「資産の条件を知る」
「この74円を資産と呼ぶには無理があるのでは——」
そう疑念を抱きつつ、僕は「ブログ 資産」と検索し、仕組みを調べてみた。
ブログが「資産になる」と言われる理由は、ストック型収益モデルにある。
一度書いた記事が検索やSNS経由で読まれ続ければ、半自動的に収益を生む。
しかし、それには条件がある。
1.検索上位を取れる記事がある
Googleの検索結果で上位を取らなければ、人の目に触れない。
150記事のほとんどは検索10ページ目以降で眠っていた。
2.継続的にアクセスが見込めるテーマで書く
例えば一度だけ書いた「とあるゲーム内での友達との掛け合い」
更新を放置しても意外とアクセスが続き、半年後でも月に数十PVが残っていた。
これが“資産の芽”だった。
3.収益化ポイント(広告や商品)が明確
「読者が広告をクリックする」「商品を買う」動線がなければ、
PVが伸びても収益は増えない。僕のゲーム日記はただの感想で、
広告と結びつく要素がなかった。
調査によれば、ブログで月1万円以上を稼げる人は全体の約10%。
多くは半年〜1年かけてアクセスを伸ばし、収益化している。
つまり「ブログは資産になる」というのは正しい。
ただし、条件を満たした人にとってだけの話だった。
「捨てた資産、残った学び」
僕が6ヶ月で74円しか稼げなかった理由は明確だ。
・キーワード選定をしていなかった
・収益導線を意識していなかった
・アクセスの検証・改善を怠った
改善策としては、
・記事を書く前に検索ボリュームと競合を調査
・読者が行動しやすい広告やリンクを配置
・毎月アクセス分析を行い、記事をリライト
これらを徹底する必要がある。
そして僕はもう一つ、大きな決断をした。
——ゲームブログを捨てることだ。
「捨てるか」
誰かに伝えるわけでもなくつぶやいたその瞬間、胸に広がったのは
「安堵」と「喪失感」が同居した奇妙な感覚だった。
半年間、夜中に眠気と戦いながら積み上げた150本の記事。
スクショを整理して、感想を書いて、
「よし、これで誰かが楽しんでくれるはずだ」と願った時間。
それをすべて手放すと決めたのだ。
「資産」という言葉にすがって続けてきた自分を否定するようで、悔しさもあった。
でも同時に、「これ以上この道に時間を吸われなくて済む」という安堵もあった。
パソコンの前で「やめる」と決めた瞬間、
肩から大きな荷物が落ちたように体が軽くなったのを覚えている。
記事がゼロになっても、僕が得たものはゼロじゃない。
キーワードを調べる力、記事を形にする粘り強さ、
そして「目的と手段を間違えれば努力は無駄になる」という痛烈な教訓。
資産は消えても、学びは確かに残った。
「ゼロじゃないという価値」
ブログは確かに資産になる。
でも、それは自動的に育つ資産ではなく、
手入れを続けなければ枯れる資産だ。
6ヶ月で74円。笑えるくらい小さな額。
けれど、「ゼロではない」という事実は僕を支えた。
たとえ捨てた資産でも、その経験が次の挑戦に繋がる。
資産は、諦めた瞬間にゼロになる。
だからこそ「やめる」と決めたあの日に覚えた喪失感と安堵は、今でも心に残っている。
もう戻れない悔しさと、次に進める軽さ——その両方が、これからの指針になっている。
僕は今日も、別のジャンルで記事という苗木に水をやり続けている。
今度は借金返済に直結する果実を実らせるために。
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