Lancersで月5万円稼ぐ夢が砕けた夜
——営業経験者なのに案件ゼロで終わった僕の失敗録
「5万円の幻影」
副業で月5万円。
大した額じゃないように見えて、借金600万円を抱える僕には喉から手が出るほど欲しい金額だった。
そこで目を付けたのが「Lancers」。
クラウドソーシングの王道で、家にいながらパソコン1台で稼げる——そんな広告を何度も目にしていた。
「文章なら書ける」「営業経験あるから提案もうまくできる」
そう思い込み、初月から1件でも受注できれば、翌月には2件、3件と増えていき、半年後には月5万円に届くだろう——本気でそう信じていた。
だが、結果は「応募しても応募しても返信ゼロ」。
なぜこんなに簡単に夢が崩れたのか——その全貌を話す。
「深夜1時の登録と、虚空に消える提案」
Lancersに登録したのは、残業帰りの深夜1時。
家に帰れば子どもの寝顔と積み重なる借金の明細。
「残業代じゃ返済は追いつかない。即金性のある副業を見つけなければ」
焦燥感に背中を押され、震える手でキーボードを叩いた。
最初の印象は「案件の数が多い!」だった。
ライティング、デザイン、データ入力、営業代行——スーパーの半額シールコーナーを目にしたときのような高揚感。
だがその熱は、提案ボタンを押した瞬間に冷え切った。
1案件に対して提案者が30〜50人。
プロフィールには「認定ランサー」「実績500件」の猛者たち。
依頼主の評価欄を見ると、すでに固定の外注先を抱えている。
そんな中で、実績ゼロの僕が「やる気はあります!」と送ったところで、読まれる保証すらない。
提案を送信するたび、深夜のPC画面に「送信完了」と表示されるが、返信は一切来ない。
それはまるで、虚空に手紙を投げているようだった。
やがて通知の来ないメールボックスを閉じ、暗い部屋で深いため息をつく。
「今日もゼロか……」
その一言が習慣のように口から漏れる夜が続いた。
さらに致命的だったのは、僕の提案戦略の甘さだ。
「営業経験があるから文章はうまいはず」と過信していたが、
他の応募者の提案文を見て愕然とした。
- 過去の成果物リンク
- 改善案を簡易で提示
- 納期スケジュールを明記
- 依頼主の過去案件を調べた上での提案
このレベルがデフォルト。
一方の僕は、「はじめまして!ぜひお任せください!」の一文+社内業務経験だけ。
営業経験者どころか、ただの素人同然だった。
「数字が示す、新規参入の地獄」
Lancersのライティング・デザイン分野は特に競合が激しい。
公開データ(2024年)によると、
ライティング案件の応募倍率は平均20〜40倍。
初回受注までの平均応募数は30〜50件。
実績ゼロの返信率は5%以下。
さらに「認定ランサー」は継続案件を抱えやすく、新規案件でも優先的に声がかかる。
つまり僕のような新規参入者に残されているのは、
- 単価が低く人気がない案件
- 急ぎ&条件が緩い案件
ほぼこの2つだけ。
だが、この層の案件は報酬が500円〜1000円。
月5万円を稼ぐなら50〜100件をこなす必要がある。
フルタイム勤務と借金返済を抱えた僕には、物理的に不可能な数字だった。
「営業経験者としての敗北と、ブログを捨てた夜」
僕が案件ゼロに終わった理由は、明確だ。
- 依頼内容を深掘りせずに応募
- 価格競争の案件ばかり狙う
- プロフィールが「熱意」一辺倒で成果例ゼロ
営業経験者なのに「顧客視点の提案」ができていなかった。
これは単なる失敗ではなく、営業職としての敗北だった。
さらに追い打ちをかけたのは、並行して続けていたゲームブログだ。
半年で150記事書いて累計収益74円。
「ブログは資産になる」という幻想にすがりついていたが、借金返済の現実には何の力もなかった。
Lancersでも案件ゼロ、ブログも数十円。
二重の失敗を突きつけられた夜、僕はブログを捨てることを決めた。
胸に広がったのは「半年間を無駄にした喪失感」と「もう時間を吸われなくて済む安堵感」の
入り混じった感情。
パソコンを閉じた瞬間、体から力が抜けていったのを今でも覚えている。
「実績ゼロは存在しないのと同じ」
Lancersで月5万円を狙うなら、最初の1〜2ヶ月は「稼ぐ」のではなく
「実績を作る」期間と割り切るべきだった。
500円でもいいからまず1件取り、評価を積み上げる。そこから単価交渉へ——。
僕はその基本を飛ばし、スタート地点で勝負を放棄していた。
今は方向転換して別の副業に取り組んでいるが、この失敗で得た教訓は大きい。
「競合が多い市場では、実績ゼロは存在しないのと同じ」
そして「目的と手段を間違えれば、努力はすべて浪費になる」ということだ。
Lancersも、ブログも、僕にとっては失敗に終わった。
けれど、失敗の中で学んだ悔しさと安堵は、次の挑戦の糧になっている。
次回は、この経験を踏まえて僕が挑戦した「低単価案件からの逆転戦略」について語ろうと思う。
同じように案件ゼロで心を折られた人のために。
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