副業収入より情報商材に使った金額が高かった現実【絶望談】

健康デストロイ

副業収入よりも情報商材代が高かった
——気づいたときの絶望感

「知識への投資という呪文」

副業を始めるとき、多くの人がこう言う。

「正しい知識への投資は惜しむな」

その言葉は魔法の呪文みたいに、僕の中に刷り込まれていた。
借金を抱えている僕にとって、遠回りせず最短で稼ぐ手段があるなら、多少の出費は仕方ない。
「これは自己投資なんだ」と言い訳しながら、次々に教材を購入した。

教材をポチる瞬間は、宝くじを買うときのような高揚感があった。
カード決済の音が「未来への投資」みたいに聞こえて、妙に安心できる。
購入ボタンを押した直後は、「これで明日からは稼げるかもしれない」と胸が弾んだ。

最初はワクワクしていた。ノウハウを学んで、すぐに成果が出るはずだと思っていた。
だが、ある日ふと計算してみた。

——副業で稼いだ額より、情報商材に使った金額のほうが多かった。

その瞬間、背筋に冷たいものが走った。

「勉強のはずが浪費に変わる」

最初に買ったのは「初心者向けブログ講座」3,000円。
「これでブログ収益化の基礎が全部わかる」と書いてあった。
夜中の2時まで画面を食い入るように見つめながらメモを取り、達成感に浸った。

次に買ったのは「SEO完全攻略マニュアル」12,000円。
「検索上位に載せれば、収益は自動的に入る」と煽られて、迷わず購入した。
数十ページにわたるマニュアルをプリントアウトし、蛍光ペンでラインを引きながら読み込む。
だが、実際に記事を書いてもアクセス数はほとんど変わらなかった。

さらに「せどり仕入れリスト付き動画講座」35,000円。
「このリスト通りに仕入れるだけで利益が出る」という言葉に飛びついた。
近所のリサイクルショップを回り、言われたとおりに仕入れた商品は、結局在庫の山になった。
部屋の隅に積まれた段ボールを見ながら、「これが本当に資産になるのか?」と首をかしげた。

最後に「SNSフォロワー10倍増加プログラム」5,000円。
「1000人超えたら案件依頼が来る」という一文に背中を押された。
しかし、実際に試したのは「フォロワー増やし用の相互フォロー企画」。
確かに数だけは増えたが、肝心のいいねもコメントも付かず、ただの数字の山になった。

合計すると約8万円。
一方、その期間に副業で得た収入は——たったの8,000円。

差額はマイナス7万2,000円。

「勉強してるつもりが、財布から出ていくお金のほうが10倍も多かった」

計算結果を見た瞬間、椅子にもたれたまま天井を見つめた。

指先は冷たく、頭は真っ白。
手元のノートに書いた「副業収益8,000円」という数字と、
カード明細に並んだ「情報商材8万円」という数字。

どちらも確かな現実なのに、あまりにもバランスが狂っていた。

喉の奥に苦いものが込み上げてきて、ただ深いため息しか出なかった。
まるでお金が知識に変わる前に、湯気のように蒸発してしまった感覚だった。

「情報商材に溺れる3つの罠」

情報商材にお金をかけすぎる原因は、大きく3つある。

1.即効性への期待

「これさえやれば一瞬で稼げる」という言葉は、焦っている副業者にとって強すぎる誘惑だ。
借金持ちの僕は特に、「半年後より今すぐ」の欲望に抗えなかった。
SNS広告の「主婦でも月10万円!」というコピーを見るたびに、胸の奥がざわついた。

2.購入による安心感

教材を買った瞬間、「一歩進んだ」と錯覚してしまう。
実際には手元にデータが増えただけなのに、心の中では「成長した気分」になっていた。
寝る前に教材の購入履歴を眺めながら、「これで大丈夫」と自分に言い聞かせた夜もあった。

3.比較による焦り

SNSを開けば、タイムラインには「この教材で月10万円達成!」と誇らしげな投稿が並ぶ。
深夜、スクロールする指が止まらない。
「買わなきゃ置いていかれる」という焦りが背中を押し、気づけば購入ボタンをクリックしていた。
画面の光に照らされる顔は、期待と不安が入り混じっていた。

実際の調査によると、購入した教材を最後まで使い切る人は全体の15〜20%程度にとどまるという。
多くの人が「買って満足」で終わる。僕もまさにその典型だった。

「教材は“使い切る覚悟”で買え」

僕が学んだのは、「教材は使い切ってから次を買う」ことの重要性だ。

  • 1つの教材から得たことを必ず実践する
  • 購入前に「何を得たいのか」を明確にする
  • 無料情報との違いを確認してから買う

これを徹底すれば、教材の価値は何倍にもなるし、不要な出費も減る。

例えばSEO教材なら、まずは一つの記事を検索上位に載せることに全力を注ぐ。
一度成功体験を得れば、次に買う教材の意味も明確になる。

僕が本当に必要だったのは、「買う勇気」じゃなく「使い切る覚悟」だった。
「副業収入より商材代が高い」という現実を突きつけられてようやく気づいた。

学んでいるつもりが、ただ教材という名の“高い買い物”をしていただけだった。
まるで本棚に並んだ未読本を眺めて「自分は勉強している」と思い込むのと同じだ。

「投資か浪費かを決めるのは自分」

情報商材は、正しく使えば時間を短縮できる。
でも、買うだけでは一円も稼げない。

副業の収入8,000円に対し、商材代は8万円。
その現実は、笑えない教訓として僕に残った。

「知識への投資」は正しい。
けれど、使い切らなければただの浪費になる。

稼ぐ前に買いすぎる——それが、僕の最初の副業破産だった。

教材のフォルダを開くたびに、積み上がったPDFと動画の数に胸が重くなる。
けれど同時に、「ここからは違う」と気持ちを切り替えるきっかけにもなった。

これからは、教材を買う前に必ず立ち止まる。
「これは本当に必要か?」「最後まで使い切れるか?」
答えが曖昧なら買わない。

そうしなければ、また同じ現実を繰り返すだけだ。
そして、その浪費のツケを払うのは、未来の自分なのだから。

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