副業仲間とつながったのに、なぜか孤独になった話
「孤独を消すはずのつながり」
副業を始めると、必ず耳にするアドバイスがある。
「孤独は続かない。仲間を作ったほうがいい」
確かに、副業は一人で机に向かう時間が多い。
夜中にパソコンの前で作業をしていると、
ふと「何をやっているんだろう」と虚しくなる瞬間がある。
だから僕も、「仲間さえいればきっと続けられる」と信じて、
SNSやオンラインコミュニティに参加した。
でも、数か月後。
なぜか僕は、以前より強い孤独を感じていた。
「安心から劣等感へ」
僕が最初に飛び込んだのは、Twitter(現X)で
見つけた副業コミュニティだった。
「毎日発信で切磋琢磨しよう」
「一緒に成長していこう」
その言葉に惹かれて参加した。最初は本当に楽しかった。
- 互いのブログ記事をシェアし合う
- 毎晩「今日の作業報告」を書き込む
- 副業に役立つツールや教材の情報交換
チャットは常に活発で、「自分は一人じゃない」と思えた。
けれど、だんだんと景色が変わってきた。
同じ時期に始めたはずの仲間が月5万、10万と収益を伸ばしていく。
僕はといえば、ブログからの収益は月0円、クラウドソーシングは時給換算で300円台。
グループに書き込むたびに、成果を出していない自分が恥ずかしくなった。
画面に流れる「今月は副業で10万円突破しました!」の報告は花火のように眩しく、
その横で僕の数字は懐中電灯の光みたいに弱々しかった。
やがて、チャットを開こうとしても指が止まり、胸がチクリと痛むようになった。
気づけば、通知をオフにしていた。
「仲間が孤独を生むメカニズム」
副業仲間とのつながりが、逆に孤独を強める理由は明確だ。
1.比較による劣等感
仲間の成果は刺激になるはずが、むしろプレッシャーとしてのしかかる。
「みんな花火大会をしているのに、自分だけ真っ暗な夜空」という感覚だ。
2.進捗の格差
成長スピードが違うと、会話が噛み合わなくなる。
稼いだ額を共有するたびに、僕だけ電卓の桁が足りない気がした。
3.“成功だけを見せる文化”
SNS的な性質もあり、失敗や葛藤は共有されにくい。
みんな笑顔の写真を投稿するが、その裏の苦悩は見えない。
結果、表面的なやりとりばかりが増え、孤独感が深まる。
心理学でも、人は「自分と似た立場の人」と比較すると自己評価が下がりやすいとされる。
まさに僕は、仲間といることで“自分の至らなさ”ばかりを突きつけられていたのだ。
「孤独を分け合える相手」
孤独を消すためにつながったはずの仲間が、孤独の原因になる。
矛盾しているようで、これは意外と多くの人が経験することらしい。
僕が学んだのは、仲間は数ではなく質だということ。
- 成果を競う関係より、失敗も話せる関係を優先する
- 無理して全員と関わろうとせず、心が軽くなる相手を選ぶ
- 交流よりも、自分の作業時間を第一にする
このルールに変えてから、逆に気持ちが楽になった。
失敗談を笑って共有できる少人数の仲間だけが残り、
以前のような“成果発表大会”に怯えることもなくなった。
一人で机に向かう時間が増えても、なぜか孤独は薄れていった。
「比べなくていい」と思える環境は、それだけで心を軽くしたのだ。
「仲間は多さじゃなく深さ」
副業仲間とつながること自体は悪くない。
でも、誰とどんな距離感でつながるかを間違えると、孤独はむしろ深まる。
僕は今、少人数の信頼できる仲間とだけやりとりをしている。
「広く浅く」ではなく「狭く深く」。
その方が安心できるし、比較に疲れることもない。
副業は孤独との戦いだ。
でも、その孤独を本当に分け合える相手は、驚くほど少ない。
だからこそ、自分にとって大切なつながりだけを残し、今日も静かにキーボードを叩いている。
仲間は多ければいいわけじゃない。
孤独を共にできる相手が、たった一人いれば十分だ。
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